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在仏日本人の「未登記フリーランサー」について

海外でフリーランサー・独立開業!
海外から通販・ネット販売!
海外居住者と契約!
在外邦人に仕事を依頼!

でもその前に・・・

日本と外国の制度には、大きな違いがあります。

知らないうちに違法行為を犯してしまうのを防いだり、不法就労の蔓延や助長を防ぐのは勿論のこと、思わぬ事態に巻き込まれないためにも、下記のことを知っておきたいものです。

1) 一般的に、外国において就労するには、滞在に関わる許可(短期滞在ビザ・学生ビザ等)だけでなく、就労に関わる許可(就労ビザ・労働許可証等)が必要です。要件を満たさなければ、不法就労になります。

就労は、「被用者として給与を得る」形態と、「フリーランサー等の身分で物品販売やサービス提供を行って利益を得る」形態に大別されます。何れの場合も、滞在先の国の法令に従わなくてはならず、次のような理由で例外扱いされることはありません。

−日本に住所(戸籍・住民票)がある
−当事者双方(売り手と買い手、依頼主と請負人)が日本人だ
−入金口座が日本にある
−日本の税務署に申告している
−規模が小さい、趣味で行っている、利益を上げるつもりはない
−日本のサーバーにホームページがある
−日本のオークションサイトで集客・販売している

2) 就労ビザを持っているだけでは要件を満たさない国もあります。例えばフランスの場合、営利活動(物品の販売やサービスの提供、及び、それを目的とした宣伝や集客行為)を行うことができるのは、現地で登記を済ませた個人もしくは法人に限られます(労働法L.8221-3、L.8221-4)。HPなどでは、名称・所在地・登記番号(RCS番号)等の記載が義務付けられています。

当然、違反行為をおこなった販売者(もしくはサービス提供者)は処罰(社会保障負担金割増追徴・罰金・禁錮)の対象になります。

また、依頼者の責任も問われます。現地で登記をしていない人に業務(通訳・翻訳・観光ガイド・買付け代行・調査など)を直接的もしくは間接的に依頼することは、禁止されているからです(労働法L.8221-1)。また、業務を依頼した相手が未登記の場合、依頼者は「雇用主」とみなされてしまいます(労働法L.8221-6)。つまり、日本から依頼をしても、「雇用主として現地で登記もせず、雇用の申告を怠り、給与明細書の作成も怠り、社会保障費も納付していない!」と判断されて社会保障法違反で処罰(割増追徴・罰金)されますし、労働法違反(donneur d'ordresとしての義務を怠った)で処罰(罰金・禁錮)されます。「ヤミ労働/不法就労の共犯者」と判断されても文句は言えないのです。現地の当局に何らかの嫌疑をかけられた場合には、現地の裁判所で争うことになります。

従って、フランスに居住する人に仕事を依頼する際には、相手方の「登記番号」と「消費税番号(Numéro de TVA)」を確認することが不可欠です。

では、フランス以外ではどうかというと、ベルギーにも同様の法制度があります。ドイツのように、商工会議所の承認及び同会議所への加入が必須という国もあります。日本は個人事業に「大らか」な国ですが、それでも外国人が勝手に営利行為を行うことはできません。常識的に考えて、外国人が勝手に「フリーランス」として仕事ができる国があるでしょうか? それを知ってか知らずか(確信犯の方が圧倒的に多いようですが)、不法営業をしている在外邦人の数は少なくないのが現状です。

また、企業の「モラル」や「コンプライアンスへの取組み」や「企業の社会的責任」が問われている昨今です。「海外在住のフリーランサー通訳者募集。日本国内に口座をお持ちの方であればOK」のような募集も多々ありますが、「相手の活動が不法就労にならないのか」「自社の活動が海外在住日本人の不法就労の温床となっていないのか」等を考慮する姿勢がもう少し広がることを願っております。

それから・・・

「Aさん」という未登記のフリーランサー(通訳者・翻訳者・観光ガイド・買付け代行者・調査代行者・フリーライターなど)が摘発されたとしましょう。当局は当然、Aさんに仕事を依頼したことがある会社や、Aさんが在宅フリーランサーとして登録していた会社の摘発に乗り出すでしょう。そして更に、それらの会社に登録している他の在宅フリーランサーに関する情報を得て、未登記の者を摘発。そこから更に別の情報を得て・・・ という風に、芋づる式に摘発が行われることでしょう。また、現地で合法的に営業されておられる方から、損害賠償請求の裁判を起こされることも考えられます。「未登記者及びその共犯者」が敗訴するのは、火を見るよりも明らかです。

不法営利活動が「不法就労」であり「犯罪」であるということが、周知されることを願ってやみません。不法営利行為をおこなった本人だけでなく、その直接的もしくは間接的な依頼者にも禁固刑や罰金刑が下されるわけですから・・・。

フランスにおける就労と関連制度の概要

フランスに居住し労働する人は、フランスの社会保障制度(URSSAF)への加入義務があります。

社会保障制度(URSSAF)は、
@一般制度(Régime général des salariés):給与所得者
A非被用者制度(Régime des non-salariés) :自営業者、自由業者等
B特別制度(Régimes spéciaux):公務員等
の3つに大別されています。

@は、「雇用主が被用者に給与を支払う」場合の制度です。
当事者双方に社会保障制度(URSSAF)への加入義務があります。
また、以下のような義務があります。
− 雇用契約書を作成する義務
− 実際の雇用関係が始まる前に申告を行う義務
− 給与明細書を作成する義務

Aは、「給与ではない形態のお金(売上・報酬・謝礼・手数料など)を受け取る者」が加入する制度です。
給料ではない形態のお金を受け取ることができるのは、
- 個人事業主(Entreprise individuelle)
- 有限会社の代表(Gérant majoritaire)
- 自由業者(Profession libérale)
等に限られ、活動内容に応じて、
- 商工会議所 (Chambre de commerce)
- 手工業会議所(Chambre de métiers)
- 社会保障制度(URSSAF)
へ登記を行う義務があります。
登記は、活動を開始する前に行う義務があります。
また、請求書(Facture)の作成義務があります。これには、名称及び所在地、登記番号の他、消費税(TVA)に関する事項(税額、TVA番号(もしくはTVA納付免除の理由)など)を記載する義務があります。

定職に就いていて、被用者として既に@の一般制度に加入している人でも、個人としてサイドビジネス等を行う際には、Aの非被用者制度に加入する義務がありますし、登記も必要になります。

法人を設立・登記する場合には、過半数を持つ代表取締役(Gérant majoritaire)としてAに加入するか、過半数を持たない代表取締役(Gérant minoritaire)=給与取得者として@に加入するか、当該法人と雇用契約を結んで被用者として@に加入することになります。

ところが、合法的に活動すると、社会保障負担金や税金などが高額(収入の30〜50%)になったり、収入もないのに負担金を納付することになってしまうことから、社会保障制度加入や登記を行わないヤミ労働者が後を絶ちません・・・

違反行為を行えば、社会保障法や労働法の定めるところにより罰せられます(割増追徴・罰金・禁錮)。前科も残ります。国外退去や入国拒否になる可能性もあります。また、本人だけでなく、周囲の人たちにも影響は及びます。「知らなかった」では済まされません。


上記記事は2005年頃に書いたものですので、法制度は変わっているかもしれません。
今でも毎月30件ほどのアクセスがあるため削除せずに残しております。その旨、ご承知おき下さい。

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